★ライトノベル年間ベスト10★

2006年2005年2004年

2006年ラノベベスト10


2006年ライトノベルベスト10
名作
1位:「Fate/Zero Vol.1」

セイバーの挫折、衛宮切嗣の絶望、アインツベルンの悲劇…
すでに確定された未来───「Fate/stay night」へ至る絶望という名の序章を描いた物語。
全4巻完結予定の1巻目ということもあり、まだ物語はほとんど動いてないのだけれども、主要人物がどのような運命を辿るのかがすでにわかっていることもあり、彼らがどのような想いで聖杯戦争に臨んだのか、その背景を知るだけで心が激しく揺り動かされます。
特に聖杯戦争で自身の命が尽きることを知っている雁夜やアイリスフィール。
この二人が残された命をどのように使い、どのような想いを抱いて最期を迎えるのか?
2巻が発売する3月が待ち遠しくて仕方がありません。
2007年度も優勝候補最右翼にいるのは間違いなくこのシリーズでしょう。
2位:「銀盤カレイドスコープ vol.7〜vol.9」

7巻から始まった“桜野タズサ伝説の章”が───銀盤カレイドスコープが9巻にてついに完結。
元々スーパーダッシュ小説新人賞応募作で1,2巻だけで完結している作品だっただけに、3巻以降は蛇足と言う声も多く聞かれましたが、このラストを見せられてはその発言は撤回せざるを得ませんね。
1巻の頃からのテーマ(ウインタースポーツを取り巻く五輪至上主義、ひいてはメダル至上主義へのアンチテーゼ)が最後まで貫かれた9巻は、この物語を締めくくる最高のラストでした。
相変わらずスケーティング描写は天才的で、まるで目の前で競技を見ているような錯覚を覚えるほど。
特に五輪での至藤、世界選手権でのガブリー、タズサの演技は、読んでいて鳥肌が立ち、熱い涙がこみ上げ、叫び出したい衝動に駆られるほどの出来でした。
最後の最後までこれだけ素晴らしい描写を見せられた以上、確信を持って言えます。
この作品を上回るフィギュアスケート小説は後にも先にも絶対に存在しない───と。
個人的な好みで言えば、この作品をNO.1にしたかったし、12月31日まではこの作品を1位にするつもりでしたが、いかんせん相手が悪すぎましたね。
ただし、この作品が名作であることは動かしがたい事実であるし、今後も記憶に残り続ける作品だと断言できます。
超良作
3位:「狼と香辛料 T〜V」
狼と香辛料〈3〉
上半期の話題を独占した、行商人のロレンスと狼のホロの旅を描いた物語がランクイン。
ストーリーは割りと地味なんですが、ホロとロレンスの長年連れ添ってきた夫婦みたいなやりとりが軽快で、非常に面白いですね。
特にホロの小悪魔チックな振る舞いに、女性にあまり免疫がないロレンスが振り回されるところはもう最高!
ストレートな感情表現に、したたかな態度、そしてころころ変わる表情などなど、ホロの魅力にどっぷり嵌ってしまった人は口をそろえてこう言うでしょう。
ホロ可愛いよ、可愛いよホロ。
他所の感想を見ると、キャラの魅力を前面に押し出した意見が目立ちますが、ストーリー自体も十分に面白い。
商人同士の駆け引きやホロの機転など、思わずニヤリとする場面が多々あり、絶体絶命の危機に直面した二人がとる行動は手に汗握り、ストーリーにのめりこむこと間違いなしです。
久しぶりに期待できる新人に巡り合った感じですね。
著者にしろ、この作品にしろ、まだまだ伸びる余地が十分にあるので、来年度も上位ランクイン必至な作品でしょう。
4位:「BLACK BLOOD BROTHERS 5・6・S2・S3」
BLACK BLOOD BROTHERS〈5〉ブラック・ブラッド・ブラザーズ 風雲急告BLACK BLOOD BROTHERS 6 ―ブラック・ブラッド・ブラザーズ 九牙集結―BLACK BLOOD BROTHERS S〈2〉ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集BLACK BLOOD BROTHERS〈S3〉ブラック・ブラッド・ブラザーズ短編集
4巻にて長かったプロローグが終わり、散りばめられてきたいくつもの設定・伏線が結びつき、5巻から物語が一気に動き出します。
著者は、かの名作「Dクラッカーズ」を生み出した“スロースターター”あざの耕平。
このBBBでは序盤から良作レベルの作品を送り出し、その異名も返上かと思ったものですが、物語が動き出した5巻からもう一段階上のレベルの作品に変貌してきましたね。
特に6巻でのミミコの懇願と告白は素晴らしいですね。
ジローとミミコを別つ“そのとき”が突然訪れたとき、元凶であり恋敵でもあるアリスに懇願する以外、方法がなかったミミコの心情を考えると胸が締め付けられますね。
『だって……好きなんだもん』
思わず口をついた告白は何の飾り気も無いものでしたが、それゆえに心に響く名言でした。
物語が佳境を迎える7巻以降は、現在以上に盛り上がることは必至。
2007年の1位を争うFate/Zeroの対抗馬はこの作品だと睨んでいます。
Dクラを超える名作の誕生に十分期待できるシリーズだと思うので、未読の人はこの機会にぜひ読んでみてください。
5位:「伝説の勇者の伝説 10・11」
伝説の勇者の伝説10 孤軍奮闘の王様伝説の勇者の伝説〈11〉君子豹変の王様
11巻にて長かった第1部が完結。
一見無意味に見えたこれまでのドタバタ劇がすべて伏線であり、それらが意味のあるものへと姿を変える11巻は圧巻の一言!
親友と世界を秤にかけ、親友を選べなかった孤独な英雄王。
かたや親友と戦友、二人との約束を果たすため、王になることを選んだライナ。
袂を別ち、それぞれの道を歩み始めた二人の運命が再び交差するとき、何が起きるのか興味が尽きませんね。
次巻からいよいよ三人の王の物語が始まるわけですが、現時点での構想では全21巻の物語とのことなので、完結までは少なくとも3〜4年かかるんですよねぇ…
今後も非常に期待できるシリーズではあるのですが、完結まで読み続けられるのかが最大の不安です。
良作
6位:「上等シリーズ バレ上・ホワ上・ブラ上・エラ上・フェス上」

エトセトラ上等。フェスティバル上等。
第1回MF文庫Jライトノベル新人賞審査員特別賞を受賞した人気シリーズ。
相変わらず熱いですね、この作品は。
「クリスマス上等。」の時点ではノリと熱さで構成された作品だけに一発屋だと思っていたのですが、毎回毎回熱いストーリーに仕立て上げる作者の巧さにすっかり魅了されてしまいました。
その中でもとりわけ好きなのが4巻目にあたる『ジューンブライド上等。』。
バット一本で逆襲を開始する鉄平、私怨と称し激情に燃える槍ヶ岳、立場を忘れてゆかりに説教する大目玉、そして今この瞬間の尊い気持ちのために戦うことを宣言したゆかり。
彼らの言動の一つ一つに何度吼えたことか!
そしてとどめはゆかりのこのセリフ。
『私は、五十嵐鉄平を愛しています』
これまで意志の弱さを見せていたゆかりが、迷うことなく言い切ったこのセリフから、鉄平への想いが痛いくらい伝わってきて心の底から痺れました。
様々な出来事を乗り越えた末に結ばれた二人の絆が解けた「フェス上。」から、どんな熱い逆転劇が用意されているのか、今後の展開からもう目が離せませんね。
7位:「吉永さん家のガーゴイル 9〜11」
吉永さん家のガーゴイル9吉永さん家のガーゴイル10吉永さん家のガーゴイル 11
このシリーズは、基本的にほのぼのとした中にちょっぴりホロリとするエピソードを交えたハートフルコメディなので、いつまでも心に残るような作品にはなりづらかったのですが、9,10巻では戦争を背景にした重い話を扱っているため、いつもとは違って非常に印象に残りました。
序盤でガーゴイルのトラウマについては見当がつき、どういう結末を迎えるのかも想像がつくのですが、それでも演出・構成の巧さゆえに感動がまるで薄れませんね。
とりわけガーゴイルのトラウマが明らかになるシーンは胸を打つ名シーンでした。
11巻ではいつもの雰囲気に戻ったこのシリーズは、今後も安定したレベルの作品を供給してくれることでしょう。
8位:「クジラのソラ 01」
クジラのソラ 01
異星人によって提供されたゲームという設定によって、大会運営やゲーム自体にブラックボックスを組み込んだ発想がまず素晴らしいですね。
アウターシンガーの副作用やチーム内での衝突など、様々な不安要素を孕みながらも、各自が抱える弱さと葛藤を乗り越えて、大会を勝ち抜いていく彼女たちの姿は、この設定があってこそ。
これがただのゲーム大会だったら、ここまでの魅力は持ち得なかったでしょうね。
主人公がプライドを傷つけられながらも、コンプレックスを乗り越えて、天才たちに追いつこうと足掻く姿も必見。
こういうスポ根もののノリは、見ていて非常に気持ちが良いですね。
異星人の暗躍や真治の思惑など、次巻以降への伏線もしっかり張っており、今後どれだけ化けるのかが非常に楽しみな作品です。
9位:「マテリアルゴースト 1〜3」
マテリアルゴースト2マテリアルゴースト 3
第17回ファンタジア長編小説大賞佳作受賞作。
主人公は死にたがりの少年で、生きる目標もなく、死ぬ勇気もなく、ただ漠然と生きているだけの、まるで魅力が無い人間だったため、1,2巻ではこの作品にまったく魅力を感じませんでしたが、3巻で彼の死にたがりの原因が解き明かされてからは評価が一変。
まさかあんな理不尽な設定を主人公に課しているとは…
『ああ……死にてぇ』
その設定を知ってから、お決まりのこのセリフを聞くと、切なくて胸が詰まりますね。
また3巻では神無姉妹と式見兄妹のエピソードが中心になっており、家族物に弱い私にはこれ以上ないほどツボにはまりました。
3巻での化けっぷりは1,2巻の平凡さに目を瞑るだけの価値は十分にあるかと思います。
10位:「とある魔術の禁書目録 8〜11」
とある魔術の禁書目録(インデックス)〈11〉
“熱さ”だけなら上等シリーズと双璧をなすこの作品ですが、10巻を超えてもそれは健在ですね。
毎回毎回ここぞという場面で血が滾るようなセリフが飛び出すから、同じような展開が続いてもまったく飽きが来ないんですよね。
この小説の魅力はこの熱さとラブコメだけで構成されているといっても過言ではないでしょう。
次々に登場する新ヒロインに加えて、過去のヒロインにスポットがあたり、ラブコメパートもますますパワーアップ。
特に9,10巻の大覇星祭では、正ヒロイン(だと思いたい)御坂美琴、吹寄制理、姫神秋沙の3人がありえないくらい可愛いですね。
噛み付くことに恥じらいを覚えたインデックスや、小萌先生とステイルのフラグ成立など、ラブコメパートでは終始ニヤニヤしっぱなしで、上質なラブコメを味わうことができました。
極端にシリアスな展開に走らなければ、今後も安定したパフォーマンスは期待できそうです。
総評
「銀盤カレイドスコープ」「半分の月がのぼる空」「空ノ鐘が響く惑星で」など、人気シリーズが次々に完結した2006年でしたが、最後の最後に発売されたFateの外典が頂点に立ちました。
銀カレは期待以上の出来で2位に食い込んだものの、半月と空鐘は選外に終わりました。
半月は本編完結の6巻が前年に発売した5巻よりも見劣りしたため、空鐘はラストがやや駆け足で消化不良な部分が多かったことが挙げられますが、それ以上に全体のレベルが高かったことが要因ですね。
ベスト10に漏れた作品でも良作レベルの作品は多数あり、8位以下は本当に大接戦で「空ノ鐘の響く惑星でK」「銀月のソルトレージュ」「“文学少女”と繋がれた愚者」「ゼロの使い魔7」といった、例年ならベスト10に入るレベルの作品が僅差で選から漏れる結果になりました。
人気シリーズが期待通りの結果を残したことに加えて、新シリーズの中からも多数の煌く才能が現れたことが要因ですが、それもライトノベル作品がメディア展開されることが増えたことによって、各社の出版数がますます増えたことが、この結果に繋がったと言えるでしょう。
2007年もラノベブームはさらに加速していくと思っているので、2006年以上に期待が持てるのではないでしょうか。




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